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「形」だけでなく
「機能」を設計する
提案型のものづくりへ

最近はセラミックス接合製品に加えて、さらにヒートシンクの製造など新たな分野の事業も行われていますね。

はい、ヒートシンクの分野も、それまで培っていた技術や作っていた製品、そして人との繋がりがあって開拓できた経緯があります。

或る時お取引先の半導体製造会社さんから「セラミックと金属の接合が出来るなら、金属と金属の接合も出来るでしょ?」と言われたんですよ。
金属と金属の接合が出来るならば作って欲しいというご要望で一番最初に挙がったものが、半導体を冷やすための装置である水冷ヒートシンクだったんです。

水冷ヒートシンクシリーズ

水冷ヒートシンクも最初はお客様に発注された通りの形で作るだけでした。

しかし暫く経った時期から、形状を作るのに合わせて、どの位冷やすことができるかを自分たちで測定しようということをやり始めたんですね。

データ測定をやっているうちに、どんな構造にすればどれくらい冷えるのかがだんだん分かってきました。

で、最初の頃は「流路設計をお手伝いします」って言っていたんですけど、そのうちに「お手伝い」じゃなくて「流路設計をします」、流路をこういう形状にすればこれくらい冷やすことができますよ、なのでこの形状で製品を作りましょう、という「提案」をする姿勢へと変わっていったんです。

正直な話をしますと、当時流路設計についてはまだ完全に技術を確立出来ていなかった部分もあったのですが、お客様から全幅の信頼を得て仕事を任せてもらうには中途半端なことを言うわけにはいかない、なので最初は少し風呂敷を広げすぎていたかもしれないですが、広げているうちにだんだんとそれが実現して事実になっていったんです。

水冷ヒートシンクも製造を開始した当初は特注品扱いで製造していましたがそれでは追いつかなくなってきたので一度標準ラインナップを作ってみようということになりました。

ラインナップを作ってホームページに掲載したり展示会に出したりしてみると、お問い合わせがどんどん入ってきて、さらにお客様から「こういうものが欲しい」「こういうものがつくれないか」という一歩進んだ要望も頂くようになったのです。

水冷ヒートシンクを作っていらっしゃる会社さんは他にもあります。設計図があればそれを貰ってその通りに作ることは何処でもできますね。

ですがお客様が製品に対して求める要望は ”これくらいの発熱量がある表面温度〇〇℃のものを、〇〇℃まで冷やしたい”というものです。そこで当社では要望通りの性能を出せるような設計をするんですよ。

温度がこれくらいの水を1分間にどれぐらいの量を流して、目標とする冷却数値があってその数値をクリアしたい、そのためにこういう流路を作ります、といった感じで設計を提案し製品を製造しているんです。

これまで培っていた接合の技術が基礎にあって、さらに製品に求められる性能を実現するための提案を行うようになったことで、単なる「形を作る」っていうところから「必要とされる性能を作る」という立ち位置に変えていっているのですね。

そこが当社の設計開発の大きな特徴だと思います。

こういった提案型のものづくりをするという姿勢は、現場の社員さんの間から自発的に出てきたものなのでしょうか

昔から製造している電力関連の製品について言えば様々な規格があらかじめ設定されています。そのためどうしても規格に合わせたものを作る必要がありました。
以前は「お客様に言われた通りのものを作る」、そういう受身の仕事のパターンが多かったんですね。

しかしセラミックス接合製品やヒートシンクの製造を開始した頃からは、単に形を作るのではなく性能を作る、性能に応えるっていうことを会社としてやらないとなかなか成長性もない、ということを私は社員にずっと言い続けてきました。

特に若い世代の人たちには最初からそういうことを伝えていますので、それが当たり前になっている感があります。年配の人たちは今までそういうことを求められてこなかったので、それまでのやり方を変えないといけないことに対して最初は間違いなく戸惑いがあったと思います。でもだんだん意識が変わっていった感はありますね。

なので今では社員に対して私がそういった内容を言うことはなくなりました。

もう一つ、私が昔からずっと言い続けているのは「作って価値を生むんじゃない。」ということです。
要するに「お客様に製品を届けた瞬間に価値を生む企業ではなく、お客様が製品を使って初めて価値を生む企業になりましょう。」ということですね。

「図面を貰ったものを図面通りに作って納めればお客様にも満足していただけるしそれでいいじゃない(それで終わり)」ではなくて、「お客様が必要としている具体的な目標数値に適合した製品を作りましょう、そしてその製品を使っていただくことで価値を生む会社になりましょう」ということを言い続けていますので、その趣旨は社内に浸透してきているかなと思いますね。

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